【店長インタビュー】 お客様の支持がある限り、続けます。
ー 今月、ベルクは19周年目を迎えますね。おめでとうございます。

「お陰様でありがとうございます!」

ー ルミネさんとはその後、どうですか。呼び出しとかありますか?

「ええ」

ー 話があるなら文書で、と及び腰なベルクに疑問の声もあります。何度でも、正々堂々と会って話せばいいじゃん、と。

「前向きな話でしたらね、いくらでもするのですが」

ー 立ち退きに関することは、文書ですませたい?

「その方がはっきりすることはしますね。文書はルミネさんからまず警告書や通知書が私宛てに届きました。郵便屋さんが玄関をピンポン鳴らして、直接手渡しで。いつまでに出ていけとか、出ていかないと賃料上げるぞとか、そういった内容です。そのために話し合いもしているという但し書きがあって…」

ー あ、文書を先に出したのはルミネさん?

「ええ。裁判に持ち込まれるのを一応想定されているのでしょう。結局、文書なんですね。判決の手がかりになるのも」

ー 配達証明ってやつですね。

「受け取り拒否ができますよ、と配達の人は微笑みかけてくれますが(笑)」

ー あ、ベルクのお客さん?




「これから飲みにいきます、と。空耳かな?(笑)せっかくですので受け取りますが、こちらも配達証明でお返事しなければなりません。まあ、すりゃいいだけのことですけどね。出ていきません、と。そういう話にもなっていません、と。そうしないと、相手側の言うことを認めたことになりかねないのです。その点、ルミネさんに提出した一万人の署名付き営業継続を求める誓願書は、決定的な資料になると思います」

ー ルミネさんと直接の話し合いは無理ということですか?

「正直、相手が見えないですね。ルミネさんというのは個人でなく、JR子会社という会社法人。いわば組織です。だからある程度しょうがない。担当者もどんどん変わるし。社長も今度、変わるそうですが」

ー じゃあ、一対一で腹をわってという感じにはならない?

「そうですね。担当者によってちょっと怖かったり、ちょっと優しかったり、キャラ的違いはありますが、話の進め方はあくまでも事務的です。これが社の方針です、と」

ー 一方的に?

「社の方針を伝達するのが彼らの役目ですから。それに対し、こちらもイエスかノーでお答えするしかない。ルミネさんにしてみれば『話し合い』でしょうが、実際は、出ていけ、出ていかないの押し問答なんです、あの密室で繰り広げられているのは」

ー 「密室」というのがミステリアスな雰囲気を醸し出していますが(笑)、普通の部屋ですよね?

「そうです」

ー 契約の話を室内ですること自体はおかしくないですよね。

「この問題をまずオープンにする必要性を感じたんですね。『密室』にはそういう意味が込められています」

ー でも、ルミネさんはオープンにはしたくないでしょう。

「それが社の方針でしょうね」

ー それは非難されるべきことですか?

「いえ、よその方針をとやかく申し上げるつもりはありません。情報をお客様と共有するというのは、あくまでも私どもの考えです。ただ、ルミネさんの新しい契約書には守秘義務という項目があって、サインしたテナントは(退店後も)それに従わなければならないようですが」

ー サインを断ったベルクには関係ない話ではありますね。では、先方の承諾なしにオープンにした?

「事前にご報告しました。まずお客様に相談します、と」

ー ほう。で、何と?

「どうぞ、と。ルミネさんの幹部の方が」

ー よく認めましたね。

「その後、慌てて撤回されましたけど、後の祭りで」

ー こういう問題って、あまり明るみになりませんね。「立ち退き」という言葉が出た時点で、店の場合、致命傷になるとも伺いましたが。

「実際、それで潰れてしまうお店もあると聞きます。お客さんと業者さんもひいてしまって…」

ー しかし、ベルクはこれだけ多くのお客様から支持された。それは予想できましたか?

「いいえ」

ー もし、お客様の反応がなければ?

「出ていけと言われた時点で、ベルクもこれでおしまいかとぼんやり考えました。このまま静かに余生を過ごすのかと(笑)。それも悪くなかったでしょうが、同時に、あの独特の雰囲気が走馬灯のようによみがえりました。ある意味、ベルクは一個の生き物のようなところがあります。それを経営者の都合で殺していいのか、と」

ー 半ば公共物みたいなもんですもんね、ベルクは。一方で、ネット上では批判も出始めています。ベルクの訴えには感情的なところや被害妄想的なところがあると。

「なるほど」

ー 思いあたるフシはありますか?

「出ていけ、とか家賃を倍に上げるぞ、というのが私どもの被害妄想なら、被害妄想であってほしいです」

ー 例えば、監視カメラ騒動がありましたね。あれは騒ぐほどのことでしょうか。

「カメラの横に『防犯』と表示してもらうことで、落着しました」

ー はじめは何の説明も表示もなかった?

「ビルのオーナーがマイシティからルミネに変わった時もそうでした。いきなりというのがしょっちゅうなんです。いちいち目くじら立ててたらやってられません。店の様子をうかがう2台のカメラが突然、天井に取り付けられた時はさすがに目を疑いましたが」

ー すぐ説明を求めたのですか?

「なかったことにしました(笑)。でも、そのうちお客様の方から続々とクレームが入って」

ー あれは何だと。

「気持ち悪いと」

ー 気にする人もいるんですね。

「お客様は敏感です。ブログ花盛りで、所かまわず撮影する方が増えましたが、それが元でトラブルが起きることもあります」

ー お客様どうしで?

「まあエチケットの問題だとは思います。一言あるかないかの違いは大きいですから」

ー 防犯カメラの設置も、ビルから一言ほしかったと。

「気にされるお客様も多いし、せめて表示はほしかったですね」

ー だからといって、レンズをテープでぐるぐる巻きにしたり、ブログで騒いだりするのはやり過ぎではないです
か。

「非常手段です(笑)。ビルに何度問い合わせても、担当者不在で対応してもらえなかったので。こちらは毎日お客様と接しています。クレームがあれば、即座に対応せざるを得ません。カメラを機能させなくして、何か言ってくるのを待ちました」

ー それでやっと対応してもらえたと。

「はい」

ー ただ、そういう裏の事情がわからないと、ベルクが勝手に騒いでいるようにも見えますが。

「なるべく包み隠さずお知らせしようとは思うのですが、うまく整理しないと誤解の元になるし、情報公開を貫くのも生やさしいものではありませんね」

ー でももう、後にはひけない?

「中途半端にやるならやらん方がいいでしょう。ただ、私どもは弱い立場におりますし、黙っていると損のような気はします。時間はかかるかも知れませんが、どんな問題もきちんとお伝えしようと思います」

ー メディアを味方につけたベルクは、もう弱者ではないのでは?

「たまたまお客様にメディア関係の方が多かったんですね。皆さん、応援で書いて下さった。直接の批判ではないにしても、JRを敵にまわすような記事は(大きな事件はともかく)タブーだそうですから、勇気がいったと思います。ありがたいことです」

ー 被害妄想と言えば、定期(契約)へのサインを拒絶したことがそもそも過剰反応ではないか、という意見もあります。定期=追い出しとは必ずしも限らない、と。

「そうですね。はじめから期間限定で契約するお店なら、そうかも知れません」

ー 途中で定期にかえるのは?

「高い権利金を払って、長く続けてきたお店も、サイン一つで営業権を手放す、ということです。そんなこと、いきなり家主が変わったからと言われても…」

ー できない?

「そうですね。何にしても、契約書のサインには慎重になるものです。ただルミネさんは、こちらがもたもたしていると、さっさと交渉を打ち切り、出ていけの一点張になりましたが」

ー じゃあまあ追い出しが目的だったのは明らかなんですね。しかし、借家人は大家に従うべきという声もあります。

「ケース・バイ・ケースでしょう」

ー 子は親に従うべし。妻は夫に従うべし。そういう伝統的な価値観がまだ根強く残っているのでは。というより、今、復活しつつあるようですが。

「少なくとも現時点では、いわゆる正当事由がなければ、ベルクはルミネさんに出ていけと言われても、出ていかなくていい契約になっているんですね」

ー 契約がベルクにとっての印籠である、と。

「ベルクの印籠はお客様の声ですけどね」

ー ああ、そうか。

「むしろ、ルミネさんの方でしょう。契約絶対主義なのは」

ー というと?

「マイシティ時代は、どちらかと言えば契約は形式的なものでした。大家とテナントは、よく言えば信頼関係、悪く言えばなあなあの関係で成り立っていたのです。そこに足を踏み入れ、ご自分たちのやりたいようにやろうとすれば、契約を盾にするしかないでしょう」

ー それで契約を無理にでも変えようとした。

「私自身、なれ合いの空気は好きではありません。それを壊そうとしたルミネさんの存在は、刺激的と言えば刺激的、新鮮と言えば新鮮でした(笑)。何かしらの改革を断行しようとしたら、軋轢は付き物ですよ。むしろ、この改革で軋轢があまり生じなかった(表面化しなかった)ことが不思議です。いくら『立ち退き』が禁句でも、また契約上口封じされていても、全館200以上の店舗の殆どがあっという間に契約を変え、出ていかざるを得なくなったのです」

ー 無条件降伏みたいなのが許せない、と。

「それは私の立場で申し上げることではありません。ただ、それにしても静かすぎる。一部、訴訟にまで発展したケースはありますが、全体的に不気味なほど静かです。その中で殆どベルクだけが騒いでいるような状況は、客観的に見てやはり異常ですね」

ー しかし、ルミネさんが契約絶対主義なら、ベルクに出ていけとは言えないのでは?

「相手がどんなテナントでも、大家には出ていけと言う権利、賃料をいくらでも上げると言う権利があります。それに対し、ベルクには営業を続ける権利、継続不可能な賃料の値上げをお断りする権利があります。お互いにお互いの権利を主張すれば、平行線になる、というだけのことです」

ー わがままと言えば、お互いわがままなわけですね(笑)

「まあ違法性もないんですけどね、どちらにも」

ー しかし、これだけの騒ぎになった以上、どこかで落とし前をつけないと。ベルクの方から法廷に持ち込むつもりはないのですか。

「一度立てられた方針を変えるのは難しいのでしょうが、私どもにとっての理想的な落としどころは、ルミネさんに正式に退店勧告を撤回していただいて、仲直りの握手をすることなんですね。そうしないと先に進めない。私どもとしてはひたすらそうなるようお願いし、お祈りするより他ありません。あとはお客様の支持がある限り、続けるのみです」

ー そうですか。では最後に、ルミネさんとお客様にそれぞれコメントがありましたら。まずルミネさんから。あえて、一言(笑)。

「テナントとの緊張関係を強調されるルミネさんの経営理念は、なれ合いがイヤな私どもの考え(体質?)とそれほどズレていない気もするのです。ただ、それは相手を否定することではないですよね。敵対している場合でもありません。私どもが目を向けるべきなのはお客様であって、そうすればお互い嫌でも厳しくならざるを得ないはずです。世界一の通行量を誇る新宿ターミナル、この目の回るような場所で、利用者の少しでもお役に立てるよう、一緒に手を取り合いませんか?」

ー お客様に向けて、一言。

「お騒がせして申し訳ございません。にも関わらず、いつも当たり前のようにご利用いただいて、それが何よりありがたく、心から感謝しております。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます」

ー では、世間様に向けて、一言。

「そうですね。生活がかかっているという私どもの個人的事情はさて置き、世間様に向けて申し上げたいのは、ベルクを残せ!という訴えよりも、こんな店が駅に一つくらいあってもいいのでは?という問いかけなんですね。その答えは私どもにでなく、むしろ駅の利用者お一人お一人にあると思います」

ー ありがとうございました。
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by bergshinjuku | 2009-07-13 08:21 | 店長ブログ
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