日本はクレーム社会?クレーマー社会?


昔、ベーコンをかじったら歯が折れたというお客さんがいた。うちのスタッフによれば、あんまり気の毒そうなので治療代を出しそうになったが、お金はその場で渡さず、まず連絡先を伺うというのがうちの鉄則なので、伺うと、いいですと帰った。その後、別のお客からソーセージで歯が折れたというクレームが…。

たまたま知り合いの歯医者さんから、歯の当たり屋が流行っているという話を聞き、やっぱりと思った。まあ相手はプロだから本当に気の毒そうなのだが、治療代を遠回しに請求されても連絡先を伺うとさっと帰って二度と現れない。一度でも払うと詐欺師の間で知れ渡り、次々と狙われるらしい。

歯の当たり屋はもう何年も前の話だが、こういうのって忘れた頃にやって来る。壁の釘に引っ掛かって服が破れたとかね。それは酷い!、ととにかくまず同情する。だけど、内心はかなり慌てる。お金ですむ話ならすませたいとすら思う。向こうが請求するのも、決まって2万とか3万とかその場で払えそうな額なのだ。

まあうちの場合、店のお金は駅ビルに管理されているので、どの道1円でも勝手に動かせないのだが。かといって、ポケットマネーで解決するのはなおさらダメだ。かえって、店に迷惑をかけることになる。

歯の当たり屋が(うちでは失敗したが)成功するのは、どんなに言いがかりに近いクレームでも店の人間はクレームというだけで動揺し、それによって冷静な判断を失うからだ。それが、あちらの狙い目でもある。私もこの仕事は25年になるが、クレームには未だに慣れない。

そのクレームが単なる言いがかりなのか止むに止まれぬ指摘なのか見分けるのは難しい場合があるし、おかしいと思ってもこちらは喧嘩できる立場にないので、ひたすらお話を伺うしかない。ただお金が絡んだら即答せずに連絡先を伺うなどしてワンクッション置く。そこは相手が何と言おうと諦めるまで待つ。

日本はクレーム社会といわれる。公園が禁止だらけでつまらない場所になったのは、クレームに従い過ぎたためともいわれる。クレームをつけられないために自主規制する風潮も強まっている。クレームって、本来つける側も物凄くエネルギーを消耗するが、つけられる側も負けずに消耗するからわからないではない。

しかし、大事なのはクレームに従うことでも聞き流すことでも(回避するために)自主規制することでもなく、そのクレームが正当なものかどうか見極めることだろう。明らかにこちらに落ち度がある場合は、すぐに埋め合わせするしかないが、微妙な場合は答えを急がない。冷静に考え、人に相談する時間を確保する。

ただクレーム社会と言っても、相手が誰だろうと…自分の上司だろうと権力だろうと…真っ当なクレームをつける人がどれだけいるだろうか。詐欺は論外にしても、相手が言い返しにくいのをいいことに憂さ晴らしでクレームをつける人がどれだけ多いことか。それはクレーム社会というより、クレーマー社会というべきだろう。




ベルク店長


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by bergshinjuku | 2016-05-14 19:28 | 店長ブログ
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