エキタスのデモで言いたかった3つのこと

(『労働情報』(7/15号)に寄せた文章です。)

「最低賃金を1500円」を訴えるデモの集会で最低時給950円の飲食店の経営者が発言し、笑い者になりました。その経営者が私です。

 私が申し上げたかったのは、次の3つです。
 1つは、デモの主催者であるエキタスと労働者に。経営者には経営者の言い分があります。ここで詳しく書く余裕はありませんが、「1500円」という数字に経営者は正直ひくよと。

 もう1つは、経営者に。「1500円」という数字にひくなよと。エキタスの主張にもう少し耳をすませてほしい。彼らは「中小に税金回せ」とも訴えています。ターゲットは国なのです。中小の経営者には寧ろ共闘を呼びかけています。

 最後は、自分自身(労働者と経営者)に。確かに私は経営者と言っても、小さなカフェの店主に過ぎません。大家のルミネに対しては労働者と同じような立場にあります。それでも経営者は経営者です。労働者とぶつかる面はあります。そこを曖昧にしてはダメよと。

 うちは大家のルミネに立ち退きを迫られ、5年間闘いました。今続けられているのは、ルミネによれば2万人のお客様による署名のお陰です。一度決まった組織の方針はなかなか変わらない。よほどのことがなければ。2万人の署名は「よほどのこと」だったのでしょう。

 変わらないのは組織の方針だけではありません。うちのような小さな飲食店も開店から26年、変わらないものがあります。味と値段です。でも食材費や人件費、家賃は確実に上がっています。それにバイトの意味もここ230年で大きく変わりました。
 昔はバイトとはお手伝いであり、学生が主体でした。学生にとってバイトはお小遣い稼ぎです。だから予定も変わりやすい。店にとってはあてにならない存在でした。
 今も学生は学業優先です。ただシフトはよく守ってくれます。それは今の若い人全般に言えることです。調教されている感じがしなくもありませんが(経営者は楽ですが)、生活のかかった学生やフリーターが増えたのも大きいでしょう。うちではそういう人はなるべく社員になってもらいますが(たった15坪の店に今12人の社員がいます)、飲食業全体はいまだにバイトに「お小遣い」程度の時給を払いながら、「お手伝い」以上の責任ある仕事を任せて成り立っています。

「時給1500円」は労働者が生活をかけるにはギリギリの金額です。ただ、その金額をいきなり突きつけられても経営者は「無理」と答えざるを得ません。が、何も突きつけられなければ何も考えないのが人間です。私自身、今回のデモに参加してそう実感しました。「時給1500円」の持つ意味を受け止め、経営者の意識が変わらなければ労働者との共闘はありえません。

 ネット上で私を笑い者にするのは、ただの野次馬です。エキタスの主張や私の考えなどどうでもいい。デモで何かを提言すること自体が気に入らず、私を後悔させ黙らすことが目的です。勿論、私は後悔しないし、黙りもしませんが(笑)。


(ベルク店長)

c0069047_17145109.jpg

photo by Naoko Sakokawa


[PR]
by bergshinjuku | 2016-08-05 17:29 | 店長ブログ
<< お休みのお知らせ ベルク真夏のチェコビール祭り >>