駅からなぜ個人商店は消えていくのか?それは果たしていいことなのか?ー阿佐ヶ谷ゴールド街とのつながり
立ち退きはみっともない? ▼JRとその子会社によるゴーインな立ち退き(時にビルごと買収し、従来の契約を無効にしてテナントを追い出す)が、中央線の阿佐ヶ谷駅高架下でも起きてるんですって? 「私の知る限りでも千葉、埼玉、大阪などで起きています。ただ、泣き寝入りするお店が多く、表沙汰にならない。今のところ声をあげているのは、阿佐ヶ谷ゴールド街のお店とうちくらいで」 ▼他のお店はどうして声をあげないのでしょう。 「お店にもそれぞれ事情があって、全部のお店が立ち退きで困るわけではない。ちょうど潮時というところもあるでしょう。ただ、ほとんどのお店‥特に個人店‥は長く続けることを前提にしています。まだまだ続けたい、続けなけいと首がまわらないというところもあるでしょう」 ▼そうでしょうね。 「でもJRさんはお店の事情なんて関係なしだから」 ▼声をあげる以外に何か策はある? 「JRはまあ巨大権力です。メディアのみならず、裁判所まで味方しかねないといわれます。テナントの主張(営業の継続)がいくら法的に正当でも、やられてしまう可能性が高いんですね。実際そういうケースを知っています。そこから身を守るためには、やはり声をあげるしかないと思います」 ▼実際、阿佐ヶ谷の場合も、それで裁判の流れが少し変わりそうだとか。でも、立ち退きが表面に出ると、お店にとってイメージダウンなのでは。 「そうですね。みっともないというのはあります」 ▼みっともないのは、店主に執拗に電話をかけたり、連日集団で店に押しかけてドンチャン騒ぎして他の客を入れないようにしたり(ゴールド街での話)して立ち退きに応じさせようとするJR側でしょうけれど。 「でも、外から見たら単なる内輪もめでしょう?」 ▼もう少し仲良くやれない?とは思われそうですね。 「仲良くやりたいですよ。そのためにルミネカードをお客様におすすめもするし、10%オフも店負担ですが嫌な顔一つ見せちゃいない(笑)。それにうちのスイカ利用率=JRさんへの貢献度は館内一です。こんな協力的なのに」 誰が説明してくれる? ▼ゴールド街の菜環亭のマスターは、先日の阿佐ヶ谷ロフトのトークイベントで、うちはお客様を巻き込まないとおっしゃってましたね。 「どう見ても、巻き込んでます(笑)」 ▼イベントであれだけお客様を集めてね。立ち見もでてました。 「でも、巻き込みたくない気持ちはわかります。お店で私たちはお客様に何の不安もなく過ごしていただきたい。何事もないかのようにふるまいたいわけですから」 ▼でも、ある日突然店がなくなっていたら、それこそ利用者への裏切りですね。 「一方的な立ち退きで不本意に閉店したお店を責めるのは酷かもしれません。むしろ、そうさせた家主のほうに説明義務があるかも」 ▼立ち退きに関する利用者からの問い合わせに、ルミネはノーコメントを貫いてるそうですね。当事者同士の問題だ、と。 「私たちは当事者じゃないの?とお客様が首をかしげられるのも無理ありません」 ▼やむを得ず、菜環亭やベルクが家主にかわって説明している(笑)。 「ある意味そうです(笑)」 ![]() 組織対個人 ▼毎日お店をやるだけでも大変なのに、立ち退きに抵抗するのはしんどくないですか? 「店主が一人で抱えこんでしまったら、追いつめられるでしょう。精神的に」 ▼ベルクがお客様やスタッフ、業者さんを巻き込んだのは正解だったと。 「ある意味賭けに近かったですけど」 ▼ドン引きされる恐れもあった?でも、みんなで怒りを共有できてよかったですね。 「怒りであり、素朴な疑問です。なぜベルクはあそこであのまま営業しちゃいけないの?という。そういう問題意識をお客様やスタッフ、業者さんたちと共有できたのはよかった。まああまりカッカしてもね。疲れてしまうので、なるべく淡々と過ごすようにはしてますが」 ▼こんくらべになってきた? 「相手は組織ですからね」 ▼JRといったら、むちゃくちゃ巨大組織です。 「やはり、どこか事務的ですね」 ▼冷淡なんですか? 「冷淡というより、事務的。ところで社会学者の宮台真司さんが、原発が止まらない理由はいくつかあるが、最大の理由はこれだとおっしゃってて、それがルミネさんがうちを追い出そうとする理由と同じじゃないかと思いました」 ▼何ですか? 「今さらやめられない」 ▼ああ、組織は一度決まったことをくつがえせないといいますね。 「下北沢のお店の人たちが、なぜ自分たちの意見を無視して再開発を進めるのか?と行政につめ寄ったところ、返ってきた言葉がやはり、もう決まったことだからでした」 ▼下の人たちは従うだけ。トップが変わらない限り、変わらない。 「いや、トップが変わろうと事情がどうあろうと、一度決まったことは変えられないという組織の論理が働くようです。ルミネの花崎会長でさえ、ワンマンっぽく見えますが、歯車の一つに過ぎないのかもしれない」 なぜ負けてしまうのか ▼ルミネは、買収したビルの社員、テナント、関連会社をことごとく切りました。それも組織の決定事項として淡々と遂行されたわけか。 「しかも、かれらは一定期間で持ち場が変わります。つまり、期間中の任務を遂行すればいい」 ▼こっちから見たら、担当がコロコロ変わるわけですね。 「変わる変わる。それまでのやりとりが一切なかったかのように。そして立ち退き命令だけが引き継がれていく。正直、アホらしくなります」 ▼いちいち怒ったり泣いたりしてもむなしいだけなんだ。むしろ、こちらも事務的に定期的に淡々とNOと言い続けるしかない?燃え尽きないためにも。 「本当は、店の仕事に集中したいわけです。それなのに、こんな余計なことにわずらわされて!なんて思ったら、くたびれちゃいますね。お店が立ち退きに屈する理由も、そこです。だからもしそこで商売を続けたければ、当面、家主にNOと言い続けるのも仕事の一つと割り切るよりほかない」 トイレ問題 ▼最寄りのトイレが復活しましたね。利用者にとっては朗報ですが、まわりのお店が夜11時まで営業しているのに、トイレは夜9時で閉じてしまうんですって? 「9時ジャストでガードマンが鍵をしめにきます」 ▼お客様からのクレームも多いでしょう。 「ええ。トイレがあるのに入れないなんて、誰もが理解に苦しみます。実際、トラブルの元になっています。ルミネさんもやむを得ず、夜の9時から11時まで入り口にガードマンを立たたせて、入るなといわせています」 ▼何ともシュールな光景だ。だったら開ければいいのに。 「ルミネの営業部の人たちもガードマンたちも、苦笑してますよ。かれらは任務をまっとうしながら、可能な範囲で私たちに親身になってくれます。震災以降、特にそういう空気が濃厚になりました」 ▼現場って、そうですよね。敵とか味方とかいってられない状況だから。 「内部の人たちも、組織の決めたことにすべて納得してるわけじゃない。声にしないだけで。私たちが声をあげるのは、そういう人たちのためでもある(笑)」 ▼なるほど。立ち退きや原発をすすめる人たちは、内心おかしいと思ってても今さらやめられない、外部の人たちにとめてもらうのを待つしかない。 「どうもそうらしいです。宮台先生によれば」 駅前の業態が制限される ▼ビル建て替えが、阿佐ヶ谷ゴールド街の立ち退きの理由とされています。耐震工事したばかりなのに?本当に?という声もあります。JRは、再入居希望のお店に対して、家賃の値上げ、ポスレジ、364日営業、定期契約を絶対条件にしているとか。それらはどのような問題を含んでいるのでしょう。 「建て替えが本当かどうかはわかりませんが(そこはよく見極める必要がありますが)、お店がいやけをさして出ていくか、しぶしぶ契約変更に応じれば、JRさんとしてはしめしめなんでしょう」 ▼この中で一番受け入れ難い条件は何ですか? 「それはお店にもよるでしょうが、うれしいものは一つとしてないです(笑)。まずここでいうポスレジとは、家主がテナントのレジを管理するということです」 ▼菜環亭のマスターが、誰かに管理されたくなくて個人店やってるのに、今さら管理なんてとぼやいてました。首根っこつかまれた感じでしょうね。 「ええ。昨日までやっていたことを今日から変えるというだけでも不安なのに、他人に突然無理やり変えさせられたらパニックになりますよ。なんじゃー?と。しかし、そう叫んだところで、かれらのキメゼリフは‥」 ▼もう決まったことです。 「そう、それ。もう少し説明のしようもあるだろうのに」 ▼ルミネでは、レジだけでなくお金も管理されてるでしょう?毎日売上のお金をビルにおさめるとか。そこまでの権限が家主にある。 「そうです」 ▼半月とか一月分そっくりあずけて、仕入れとか大丈夫なんですか。 「年中無休にしろポスレジにしろ、そのつもりで計画的にやれば、やってやれないことではないです。うちも親の代からそうしてきましたから」 ▼ベルクは、もうすでにやってると。 「ええ。40年以上それでやってきて、今のベルクもそれに合った業態(ファストフード)ですから、自明の理になっちゃってる。ただ、どの店もそれに合わせるなると、業態は制限されるし、駅ナカ駅前の画一化はまぬがれないでしょう。菜環亭のようにマスター1人で切り盛りして、その人柄も集客力の要素となるようなお店は排除することになる」 ▼お店の価値って、一概にいえないですもんね。そういうお店がはじめからなければ、そういうものだと思うけど、せっかくあるのに失うのはもったいない気がします。 ポスレジって何? 「私自身、立ち退きをきっかけに疑問に思うことはいくつかあります。例えば、何のためのポスレジ?と」 ▼管理のため? 「家賃を歩合(最低家賃+歩合)にするためです。考えてみたら、歩合の家賃って、奇妙でしょう」 ▼デパートがそうじゃないですか。売上の何%をショバ代として払う。ショバ代なんて、ヤ○ザみたいですが(笑)。出店者も単に場所を借りるだけでなく、デパートのネームバリューやイメージ戦略にのっかるわけだから、ある程度しょうがないのでは。 「ただうちはルミネさんが誕生する前からあの場所で商売してました。立ち退き騒動が起きるまで、誰もあそこがルミネさんの管轄とは思わなかった(笑)」 ▼でも、ルミネは駅ビルというよりもうデパートなんでしょうね。おしゃれだし、駅ビルの古びたイメージから見事に脱してる。 「ただ、私たちテナントは駅ビルと賃貸契約を結んでるわけです。何千万という権利金を払って、内装などは全て自己負担。お金の話ばかりで恐縮ですが、(ビルのための)広告宣伝費というのも家賃の他に毎月30万払っています。そのかわり、法的に営業を続ける権利が守られている」 同意を強要する? ▼2000年から法律で認められるようになった定期借家契約は、賃貸契約とはいえ、デパートのケース貸しに近いのでは? 「営業権がないという意味では、ケース貸しと同じですね。家主には都合のいい制度です。もちろん、テナントもはじめからそれを承知で契約するなら、誰もモンクはいえないですが」 ▼ベルクは拒否している、と。 「うちは40年以上普通契約でやってきました。それを途中で定期契約に変更するには、テナントの同意が必要です。でもテナントには何のメリットもありません(営業権を失い、長期的な見通しがたてられない=個人商店には不向き、立ち退き料ももらえない)から、よほど魅力的な特典でもつかない限り(正直、まわりが次々に「同意」するのを見て何か裏取引でもあるのかと思った)、同意はありえないでしょう。でも、ルミネさんは私たちを個別に密室に呼び出して、同意しないのはお宅だけだ、バックにはJRがついてる、逆らう気かなどといって同意を迫ります」 ▼そんなの同意じゃなーい(笑)。 「サインしたら、強要であろうとなかろうと書類上は(法的に)同意になってしまう」 ▼サインってこわーい。 「制度自体にも問題があります。JRさんのために用意された制度?と疑いたくもなる」 ※民主党の中村哲治議員は、国会で家主による定期契約変更の強要を「新宿ベルク問題」としてとりあげました。「もし、これが本当なら、定期借家制度そのものを根底から揺るがしかねない」 多様なニーズ ▼とりあえずベルクは、定期契約をのぞけばJRの絶対条件である364日営業もポスレジもをすでに受け入れてるわけですよね。 「そういえばそうだった、という感じです。日本最初のショッピングモール駅ビル『新宿ステーションビル』(後のMYCITY)を私の祖父がつくり、そのとき生まれたシステムです」 ▼店長のおじいさんがつくったシステムか。それをJRが引き継いだ。じゃーなおさらなじみのあるシステムではありますね。 「客観的に見れば、電車は365日動いてる。時代の変化には応じたい。そう考えて、駅ビルが先ほどの条件をテナントに提示するのはわからないではありません。ただ、ほとんどの個人商店には受け入れ難い条件である、というのもご考慮願いたいのです」 ▼だったら出ていけ、ってことでしょう?例外が認められないのも組織の論理だから。 「駅は、いえ、駅こそ通勤、通学、買い物、乗り継ぎ、観光、茫然自失(笑)、様々な利用客の様々なニーズが渦巻く場所です。システムが一目瞭然の大手系列店は手っ取り早くていいけど、それ一色じゃ物足りない。何かと小回りのきく個人商店も絶対重宝すると思うんです」 家賃はスライド方式で ▼確かにベルクは個性的で質の高いファストフードだし、利用客も多い。ルミネがベルクを追い出すメリットは何もない気もします。 「ルミネさんからは、出ていかないなら家賃を上げるといわれてます」 ▼年間一千万円の値上げですって?裏をかえせば、ベルクの家賃は安すぎ? 「うちは今、月、坪14~15万円くらい。新宿一等地としても決して低い額じゃないと思います。営業面積が15坪。ただ大きな柱が三本あって、それ合わせると20坪弱。家賃も20坪弱分です」 ▼毎月、約280万ビルにおさめてるんだ。それを380万くらいに上げるってこと? 「ルミネさんの説明では、今、不景気で賃料の値上げしか増収の道はないとのことでした」 ▼昔は共存共栄という考えから、不景気の時には賃料据え置き、または値下ということもあったけど、今はとれるだけとっておけという考えなのか。それにしても、ちょっと上げ過ぎ? 「賃料の値上げは、正確には、歩合を固定にするということなんです」 ▼今は固定じゃない? 「はい。先ほども申しましたように、歩合の家賃って奇妙です。だって、歩合って、いい結果を出せばより多くのお金がもらえるんでしょ?より多くのお金を払うんですから」 ▼うーん。ルミネでは歩合は、売上の何%ですか? 「固定で20%です」 ▼20%は高いなぁ。ベルクのように原価率に50%も60%もかける店はなおさら。人件費、水道光熱費、もろもろ引いたら何も残らないのでは。 「売上がのびるということは、人件費や材料費もあがります。現場もてんてこ舞いです。ただ、ふつう家賃はあがらず、そのまま(毎月一定額)です。それで何とかなるんです」 ▼まあそういう契約だからしかたないとは思うものの、家賃まであがるのは痛いですね。食材コストや人件費を削るしかない?結局、お客さんに一番しわ寄せがいく? 「それだけは避けたい。うちはもう何十年も滞りなくお払いしてるんだし、今まで通りスライド方式でお願いしますよとルミネさんにはいってるんです」 ▼スライド方式というのは? 「MYCITY時代の家賃は、歩合は歩合でも、テナントへの配慮(長く続けてもらうための)からでしょう、売上がのびればのびるほど歩合の割合が段階的に下がるスライド方式だったんです。まあ割合は少し上がることもありましたけどね。それでもうちは、お陰様で開店以来ずっと前年比アップ、売上額が高いため(坪効率は館内トップ)、歩合の割合も現在15%におさえられてます。本当は10%くらいまで下げたい。きっと目がまわり過ぎて、立ってられないでしょうけど(笑)」 ▼固定じゃなくスライド方式というのは、そういうことか。それが早い安いうまいのベルクミラクルを可能にしている。お客さんもハッピー、家主もハッピー、店もハッピー。もし、歩合がいきなり固定で20%になったら‥ 「ミラクルは消えます」 〈民間〉にまかせることの落とし穴 ▼ベルクの立ち退き問題は、単なる家主とテナントのトラブルでなく、社会的問題を含んでいると先日のトークイベントでいってましたね。 「そうそう、新自由主義」 ▼新自由主義って、政府の役割を最小限にして、何でも民間にまかせるという考えでしょう? 「そこには落とし穴があって、私たちの生活上のセーフティーネットが次々に消されていきました。新自由主義って、企業と個々の労働者が同格(対等)なんですよ」 ▼は? 「制度的に。でも現実には、経営者に対して労働者の立場は弱いままです。家主に対してテナントの立場も弱いままです。むしろ弱まるばかりです。その弱い立場を守るためのセーフティーネットがいくつかあった。労働組合とか」 ▼労働組合は今でもあるところはあるでしょう。ただセーフティーネットとして機能してるかどうか。 「少なくともあまり存在感がない。労働組合も組織ですから、中にいればそれなりの息苦さはあるかもしれない。でも、組織内に組織をチェックするもう一つの組織があるのはやはり健全なことです。一度も組織に属したことがない私がいっても説得力ないですが(笑)」 ▼そうか。営業権もセーフティーネットの一つか。それも定期借家制度によって消され、テナントや労働者は使い捨てにされる。民間にまかせるというのは、大企業や大家主に好き放題にやらせるということ? 「現実はそうなっています」 駅ビルなりのメッセージを ▼話を元に戻しますが、ベルクがJR新宿駅東口改札そばという商売上最高においしい場所にあるのは間違いありません。ハタから見れば、そこをルミネとベルクで取り合ってるという印象もないではない。最終的にどちらかがゆずるしかない。となれば、ベルク(テナントのほう)?という声も当然あるでしょう? 「そうですね。法的なことはさておき、どうするのが一番いいのか。それを私たちも自問自答しつつ、お客様にもおたずねしています」 ▼2万名の署名を集めた営業継続請願書がそれですね。確かにそこから店は誰のものか、駅ビルは誰のものか、街は誰のものかといった議論も展開できるでしょう。それはまた次の機会にするとして、利用者が一番気になるのは、本当に決着はつかないの?ということです。 「ええ」 やっぱ、難しい?組織相手じゃ。 「うち1店舗でかけあっても、結局『出ていけ』の一点張りでらちがあきません」 ▼店どうしで団結するとか。商店会は? 「ルミネになってから99%のテナントが定期契約に変えさせられました。どの店も、1年2年で切られたり切られるのではないかとビクビクしてます。とにかく目まぐるしく店が入れ替わっています。団結どころじゃないんです」 ▼そういうことか。 「そういうことだったんです」 ▼そうなると利用客はもちろんのこと、スタッフ、職人、そして菜環亭をはじめとする全国の同じような境遇にあるお店とのつながりが、より大事になってきますね。 「本当に心強いです」 ルミネをよくする会 ▼ルミネも「ファッションビルだから(飲食店はいらない)」の一言で切り捨てるんじゃなく、ベルクを追い出したあとにこんなに素晴らしいものがきます(笑)とか、何かしらメッセージがほしいですよね。菜環亭やベルクにばかり喋らせてないで(笑)。 「それは私もぜひうかがいたい(笑)。まあ組織である以上、管理を強めるのはしかたのないことだと思います。ただ、何のための管理かじゃなく、管理するためにはどうするかということばかり問われるようになる。お役所的な一種の倒錯ですね。そうなると、トイレ問題のような滑稽な事態や迷惑も引き起こかねない。しかも、労働組合であれ名店会であれそれをチェックしセーブする装置が事実上壊滅状態」 ▼ベルクがやるしかないじゃない? 「ルミネをよくする会というのを本気で作ろうかと考えたこともあります(笑)」 ▼ぜひ!作ってください。ところでJRには一応内部機関だけど、コンプライアンス相談窓口というのがなかったでしたっけ? 「あります。私たちもJR関係のお客様からそこhttp://www.jeki.co.jp/compliance/を教えていただき、震災前に申し込みました。でも、今のところなしのつぶてで」 ▼相談したいのは、立ち退きについて? 「いえ、ルミネさんの罰金制度(ガスの元栓閉め忘れ一回につき罰金50万円とか)についてです。違法性が疑われます」 ▼返事がいまだにないのは、やる気がない?コンプライアンスとは名ばかり? 「原子力安全委員会みたいなものか?」 著作権の解釈がおかしい ▼ゆくゆく店舗だけでなく、住居も普通契約から定期契約への変更が可能になる法律改正(改悪)が検討されているそうです。私たちは居住権まで奪われようとしている。自分の土地がある人、あるいは身軽に漂流できる人はいいかもしれませんが、多くの日本人は他人の土地を借り、そこに根ざした生活や商売というのがあります。権利の意識が低いままだと、それらを根こそぎ失う恐れがある。店長の説(ベルク本)では、権利とは権力の制限である、でしたっけ? 「歴史的に見て、そうです。例えば今、著作権がややこしいことになってるでしょう。ロックンロールの生みの親、チャック・ベリーやリトル・リチャードは、ヒット曲を飛ばしてもほんのはした金しかもらえなかった。作者としてクレジットされなかったからです。俺たちにも分け前をよこせ!とかれらが声をあげなければ、黒人に著作権はなかったかもしれない。著作権って、元々レコード会社(企業)という権力からアーティストを守るためのものでした。ところが新自由主義になって、弱者という概念が希薄になるにつれ、企業の利益を守る側面が強まりだした」 ▼確かに、YouTubeに自分の部屋の映像をアップして、そこにテレビの画像がちらっとでも映ったら、(テレビ局の)著作権侵害を問われる可能性があるそうです。 「ある飲食店は、10年間BGMを店に流しただけで著作権料として800万円を払わされつぶれました。そういう話が耳に入るようになるのも2000年以降です。お店に10年ぶんのBGMのリストなんて残ってるはずがない。そのお金が個々のアーティストに還元されたとは考えにくいんです」 ▼なんか変ですね。 ライフワークとして‥ 「歴史が3歩進んで2歩下がるものだとしたら、今は2歩下がるところまできてるんじゃないでしょうか。そろそろ3歩進まないと。暴動とはいわないまでも(笑)、告発、デモ、署名活動などで声をあげていきましょう」 ▼自主規制やら組織の論理やら、抑圧も色々あるから、そうした活動を続けるだけでもすり減りそうですね。それこそベルクを見習い、少しずつ人を巻き込んで、事務的に、淡々と‥。もう4年に及ぶんだ。 「もうライフワーク化してる?(笑)。先は長いですからね。疲れたら十分休んで、おいしいお酒のんで、歌を歌って、たまに仕事もして(笑)‥それが理想ですが‥声をあげるべき時にあげて。それでいいんじゃないでしょうか」 ▼では、疲れたりおいしいお酒が飲みたくなったら阿佐ヶ谷の菜環亭か新宿のベルクへ(笑)。 「ぜひ、お待ちしております」 ※お陰様でトイレは夜11時まで利用できるようになりました。 ![]() ![]()
by bergshinjuku
| 2014-01-20 11:43
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